新年を迎えたお正月の三が日に、遅くとも松の内の間に
初めて神社やお寺に初詣(初参り)に足を運ばれる方は
多いです。
起業家や企業経営者の方、その他、ビジネスで飛躍を期する
多くのビジネスマンが本年の成功、成長を祈願して参拝されます。
初詣の由来には2つの説があり、1つは恵方参りが初詣でになったという説。
もう1つは神道の年籠り(としごもり)が初詣でになったという説です。
恵方参りとは自分の住まいからみて縁起の良い方角という意味の恵方にある神社、
寺院にお参りすることを言い、その年の十干に応じた恵方・吉方にお参りすると
縁起が良いとされています。
ちなみに、恵方は年ごとに異なり、六十干支の頭につく「十干」で決まりますので、
気になる方はご自身でお調べください。
一方、神道の年籠り(としごもり)とは、氏子である家長たちがその土地の氏神様を
まつった神社にこもり大晦日から元旦にかけて豊作や家内安全を祈願する行事のことで、
この神社への“籠り”がお参りすることへ変化して初詣となったという説です。
とにもかくにも初詣と言えば、『神社』という方もいれば、『お寺さん』という方も
おられるのが現状ですが、いったい初詣にはどちらへ足を運ぶのが正しいのでしょうか?
神社と寺とを比較しながら、その違いをお伝えして参ります。
この記事の目次
初詣には神社とお寺のどっちに行けば良いか
結論から申し上げますと、『どちらに初詣に出向いても問題はない』ということになります。
多くの方が神社へ初詣へされたり、お寺へ初詣されたりと、大きな偏りがあるわけではなく、
その区分けにはさほど強い影響はありません。
初詣をする主旨をよく理解し、これまでの感謝の意を伝えるとともに
本年1年の幸せ、成功、成長を祈願することを忘れなければ良いです。
初詣における神社とお寺の違い1 何が違うのか?
神社とお寺、何が違うのかですが。
神社は日本の神様の御魂を祀る場所で、寺は仏尊象を安置し仏教を教え
僧侶が住む(修行する)場所ということになります。
簡単に視覚的に見て分かり易い違いとしてよく言われることは、
鳥居があるのが神社でありお墓のあるのがお寺であるということです。
初詣における神社とお寺の違い2 成り立ち
そもそもとして神社とは何でしょうか?また、お寺とは何でしょうか?
この成り立ちについてお伝えします。
神社とは神様が降りてくる聖地のことで、その始まりは雨乞いだったそうです。
弥生時代の困りごととして日照りがあり、たんぼが干上がってしまうと、
その年は飢えで苦しくことになりますから、稲光とともに
雨が降ってくれることを願ったのだそうです。
そして、稲光が雨を降らしてくれる元であると考えていた弥生人は
雷が落ちる目印としてつけたのがしめ縄であると言われております。
しめ縄で結界をつくることで神様のはみ出しを防ぐ目的だったのです。
一方、お寺とはもともと修行者の共同生活場であり、その起源はインドにあります。
インドの釈迦によって紀元前5世紀ごろに始められた教えであった仏教は
元々塔や仏殿などはなく、仏像やお経すらありませんでした。
しかし、次第に仏教が広まり釈迦が神格化されてくるとともに
その遺骨を納めた仏塔への崇拝も広がっていったということです。
やがて、修業の場にも仏塔が作られるようになり、修行にも仏塔礼拝が
組み込まれるようになり、さらには仏像が造られだすと、
これを礼拝することが修行の重要な要素になっていったのです。
日本では権力者の信仰として受け入れられたことから立派な建物や仏像が
建てられるようになり、塔は天を突くような高さになり、
僧の住む建物も立派に作られたのです。
初詣における神社とお寺の違い3 参拝作法
神社とお寺とではその参拝作法に明確な違いがあります。
まず、神社への参拝作法をお伝えします。
1.鳥居をくぐって参道へと入ります。
鳥居が複数ある場合は一番外側にある「一の鳥居」から順番にくぐって入りましょう。
そして、鳥居をくぐる際には軽く一礼してから入ります。
2.参道を通る時は真ん中を通ってはいけません。
真ん中は神様が通られる道ですので端っこを通るようにしましょう。
3.参道の脇には手水舎(てみずや)という場所がありますので、そこで身を清めます。
①右手で柄杓を取って水を汲み、その水で左手を清めます。
②左手に柄杓を持ちかえて、右手を清めます。
③再度柄杓を右手に持ちかえて左の手のひらで水を受け、その水を口に入れて清めます。
当然ですが、直接柄杓に口をつけてはいけません。
④水をもう一度左手にかけて清めます。
⑤使った柄杓を立てて、柄の部分に水を伝わらせるようにして清め、
柄杓を元の位置に戻します。
この一連の動作を最初に汲み取った水のみで済ませます。
4.参拝します。
軽く一礼して近づき、鈴を鳴らして自分の参拝を神様に知らせます。
次にお賽銭を入れ、、「二礼二拍手一礼(二拝二拍手一拝)」を行います。
「二礼二拍手一礼(二拝二拍手一拝)」とは、
①神前に向かって、二回90度近く深いおじぎをします。
②両手をのばして手のひらを合わせてから、右手を少し後ろへ下げます。
肩幅ほどに両手を開いて、柏手を2回打ちます。
再び、両手をあわせ、揃えて祈念をこめてから手を下ろします。
③再び深くおじぎをします。
という作法となっております。
※注意 神社によってはこの参拝方法が異なる場合もあります。(出雲大社など)
5.参拝するまでの要領で帰りの途につき、鳥居を出る際には
鳥居をくぐり終えてから振り返って一礼をして帰ります。
次に、お寺への参拝作法をお伝えします。
1.寺院の入り口にある山門で、本殿に向かって合掌一礼します。
2.御手洗で神社参拝と同じ手順で身を清めます。
3.鐘を撞ける場合は撞きます。
(一般参拝者が撞くことを禁じている寺院も多いので、
許可する旨の掲示がない場合はしないで下さい。)
4.蝋燭や線香が用意されている場合は以下の手順で献灯・献香を行います。
①所定の料金を支払って蝋燭や線香を購入します。
②火を着けて燭台と香炉に捧げる。
捧げる蝋燭・線香共に通常は一本で構いません。
ただし、線香の本数は宗派によっては三本と指定されている場合が
ありますのでご注意ください。
5.本堂に参り礼拝します。
①賽銭を納め、鰐口などの鳴らし物があれば鳴らします。
②姿勢を正し静かに合掌して一礼、45度から90度上半身を屈めます。
数珠を持参した場合はこの時手に掛けてください。神社への参拝時とは異なり
拍手は行いません。
③通常は何も唱えず静かに礼拝します。
(唱える言葉が掲示されている場合はその限りではありません。)
④納経として読経を行う場合は般若心経を唱えるのが一般的です。
(ただし、浄土真宗系や日蓮宗系の宗派の寺院の場合は般若心経を唱えては
いけません。)
より良い唱え方としては般若心経の前に開経偈、
後に普回向を唱えるというものがあります。
経は暗記している場合であっても経本を手にして読むのが
より良い作法とされています。
⑤最後に軽く一礼して本堂を退がります。
6.納経あるいは参拝の証に朱印を受ける場合は礼拝の後に
納経所に申し出て受けるようにしましょう。
7.山門から出る際に、本堂に向かって合掌一礼します。
ということで、初詣で参拝する神社と寺の場合においての違いについてお伝えしました。
ちなみに、参拝場所として人気のある神社およびお寺のベスト3をご紹介しておきます。
初詣に人気のある神社
明治神宮 – 東京
明治天皇と昭憲皇太后(明治天皇の妻)をお祀りする神社。
初詣の時には日本一の参拝者数を集める神社としても有名です。
明治天皇がかなりのワイン好きだったということから、よくある酒樽の
奉納とは別に名だたるシャトーワインが奉納されています。
初詣の際には明治神宮のシンボルとも言える南参道と北参道の出合い口の
ところにある大きな鳥居をくぐりたいものです。
木造の明神鳥居としては日本一の大きさを誇っています。
そして、初詣の時には整理券が配られるほどの人気スポットである『清正井』。
陰の気が満ちる夕方以降や、雨の日は悪い気をもたらしやすいとも言われるので
お勧めしませんが、晴れた日の朝に行くのは強い浄化作用が満ちている
パワースポットでもあるので良いでしょう。
伏見稲荷大社 – 京都
全国にある稲荷神社の総本宮。
鳥居がみっしりと連なってトンネルのようになっている「千本鳥居」は有名ですが、
他の場所でも鳥居だらけの神社です。
命婦谷の奥社奉拝所の右奥に一対の石灯篭があり、この灯籠の前で願い事を
祈念し石灯籠の空輪(頭)を持ち上げてみます。持ち上げた時、
自分が予想していたよりも軽ければ願い事が叶い、重ければ叶わないと言われています。
また、日本の各有名企業が商売繁盛(商売繁昌)として祈願をする神社としても有名です。
住吉大社 – 大阪
初詣といえば「すみよっさん」と言われるくらいに
大阪の人から絶大な人気を誇る初詣スポットです。
柱が四角い住吉鳥居、住吉造の御本殿、太鼓橋と呼ばれている反橋で
有名な摂津一宮の神社です。
「五」「大」「力」と書かれた3つの小石をお守りにすると
寿(命)力・福力・体力・智力・財力の5つの運力が授けられ心願成就のご利益があると
言われておりますが、これらの小石は住吉大社本殿の南側にある杉の木が石の玉垣に
囲まれた「五所御前(ごしょごぜん)」という場所で杉の根元に敷きつめられている
玉砂利の中から探します。
初詣に人気のあるお寺
成田山新勝寺 – 千葉
天慶3年(940)、宇多天皇の孫にあたる寛朝[かんちょう]大僧正により開山された
真言宗智山派の大本山で千葉県成田市にある。
本尊は不動明王。関東地方では有数の参詣人を集める著名寺院で、
家内安全、交通安全などを祈る護摩祈祷のために訪れる人も多いです。
江戸期から「成田のお不動様」とよばれ親しまれてきました。
川崎大師 平間寺 – 東京
金剛山金乗院と号し、俗に川崎大師・厄除弘法大師と称される真言宗智山派の大本山。
当地付近に住んでいた平間兼乗が川崎市夜光沖合いの海で拾い上げた
弘法大師像をもとに、尊賢上人が開基となり大冶3年(1128)創建したと伝えられます。
永治元年(1141)には近衛天皇により勅願寺の宣旨を受けた他、
江戸時代には将軍家より寺領6石の朱印状を拝領し、現在に至るまで
多くの縁日等を催し賑わっています。
浅草寺 – 東京
東京都台東区浅草二丁目にある東京都内最古の寺。
「浅草観音」の名称で全国的にあらゆる階層の人達に親しまれ、
年間約3000万人もの参詣者がおとずれる、民衆信仰の中心地となっている。
山号は金龍山。本尊は聖観音菩薩(しょうかんのんぼさつ)。
元は天台宗に属していたが第二次世界大戦後独立し、聖観音宗の総本山となった。