前回、『個人事業主の適切なマイナンバー制度対応とは?』
ということでマイナンバー制度がスタートするにあたって
個人事業主が取るべき対応についてお伝え致しました
ところ、反響がありましたので今回も引き続き
マイナンバー制度の関する情報をお届けします。
マイナンバー制度がスタートするにあたって、特に気になるのがデメリットです。
情報の漏えいは大丈夫なのか?変な利用のされ方はしないのか?など、
まだ見えぬ情報に不安が募るばかりの方も少なくありません。
そもそもマイナンバー制度は何のために導入されるのでしょうか?
我が日本の縦割り行政による弊害とも言える管理の複雑さが露呈しており、
『年金』『健康保険』『雇用保険』『住民票』『税金』『運転免許証』『パスポート』
など数々の番号がバラバラの管轄機関でバラバラに管理されているといういのが現状です。
つまり、横の繋がりが一切絶たれている状態でありますから、1つの管轄機関で
データの修正を行っても、横のつながりを持たない他の管轄機関に存在する
同じ情報が修正されることはなく、そのままの状態で管理され続けるといった
ことが起こるわけです。
これがデータの間違いや漏えいにつながる可能性を引き起こすことは
もちろんのこと、データの管理にかかる費用が各々の管轄機関で発生する
わけですから、無駄な費用の垂れ流しになっていたことは間違いありません。
それゆえに、マイナンバーという個人番号を設けることで、これらの問題を解決し、
個人情報の一元管理をすることがマイナンバー制度導入の目的とするところであります。
ただ、一元管理できるというメリットは一度(ひとたび)情報が漏れてしまうと
芋づる式にあらゆる情報が漏れてしまうというデメリットを生むことにも繋がり、
ここに不安を持つ方がおられることも事実です。
そこで、今回はマイナンバー制度のデメリットにフォーカスしてお伝えしていきます。
この記事の目次
マイナンバー制度のデメリット1 膨大な費用の発生
マイナンバー制度の導入にあたり、膨大な初期費用と
それ相応の維持管理費が毎年掛かると言われております。
その金額については情報が入り混じっており確かなところは分かりかねますが、
概ね初期費用に2000億円〜4000億円、毎年の維持管理費に
数百億円が掛かるようです。
もちろん、これだけの費用を掛けた以上のメリットがあれば良いわけですが、
少なくとも掛かる費用の負担はどこかで補わないといけないわけで、
それが最終的には何らかの形で国民が負担することになることは言うまでもありません。
ぜひ、トータルでメリットの出るような運営を期待したいものです。
マイナンバー制度のデメリット2 対応コスト
マイナンバー制度の導入に際し発生する(した)国の費用もさることながら、
この制度に対する対応を強いられる個人(もしくは法人)にも
それなりにコストが掛かることは言うまでもありません。
例えば、パソコンのプログラムなどの変更を余儀なくされる場合も発生するかも
しれませんし、これまでパソコンの類を導入していなかった方は
新たにパソコンの導入やサーバーの契約をしなければいけないかもしれません。
また、個人番号を取り扱う上で情報のセキュリティに関する強化も避けがたい
ものになりますので、そのためのソフトの導入やその他の環境整備に
掛かるコストも発生してきます。
これらのように目に見えた対応コストが掛かってくることになるわけですが、
それ以外にも今まで以上に厳重な管理を必要とされることから、
その管理費用は相応のものになるはずです。
なぜなら、『個人事業主の適切なマイナンバー制度対応とは?』でも取り上げましたように、
マイナンバー制度で割り当てられる個人番号の漏えいに関する罰則には
厳しいものがあるからです。
このように、マイナンバー制度に対応するために掛かる対応コストも
デメリットの1つと言えるでしょう。
マイナンバー制度のデメリット3 情報漏えい
先のテーマに被るところも多々ありますが、情報の漏えいの可能性は
デメリットの1つに他なりません。
クレジットカードもマイナンバーに紐付けされるとなると、
マイナンバーの個人番号の情報漏えいは、すなわち、お財布情報を
抜き取られるに等しいと言っても過言ではありません。
国も最善の注意を払って管理システムを構築しているはずですが、
とは言え、ハッカー問題などのいたちごっこの状況を見ていても分かるように
完璧な情報の防御策などは存在しないというのが本当のところです。
だからこそ、念には念をというくらいの厳重な情報管理が必要になってきますし、
自身の個人番号のみならず、他人の個人番号を預かる身になる方にとっては、
情報漏えいに対する対応コストもさることながら、
その心的負担も大きいところとなります。
マイナンバー制度のデメリット4 マイナンバーに絡む新たなビジネス
マイナンバー制度の導入により色々な対応が強いられることを申し上げたわけですが、
この新たな対応の発生によりそこに付け入るビジネスが発生しないとも限りません。
例えば、セキュリティに関するビジネス(パソコンやソフトなどの商品やこれらの設置や
サーバーぼレンタルなどのサービスもろもろ)が高騰したり、これらに関する情報に
疎い方への不安を煽るようなセールスの横行もなきにしもあらずです。
このようにマイナンバーの個人番号の管理の必要性から、その不安のために
過剰な費用を掛けることになるかもしれないことは、まさにデメリットの1つと言えます。
マイナンバー制度のデメリット5 避けぬ情報漏えい
『マイナンバー制度のデメリット3 情報漏えい』とは少し違った角度からの
情報漏えいに関するデメリットです。
それは・・・
自分の個人番号を必ずや目にする方がいるというリスクです。
例えば、国や自治体でこのマイナンバー制度の導入に伴う個人番号を管理する担当者は
必ずおられるわけですが、この担当者が仮にに悪質な人物であった場合は
プライバシーを侵害される恐れがあります。
また、国や自治体に関わらず、他人の個人番号を目にする方はおられるわけで、
勤めている会社の管理担当者は従業員の個人番号を知る立場にありますし、
個人事業主などは法人と違い、個人番号をもってビジネスをすることとなるわけで、
当然のことながらお取引先に対して自身の個人番号を明らかにしなければならないので、
お取引先のマイナンバーの個人番号の管理担当者に知れるところとなります。
つまり、こちらについても先と同様にプライバシーを侵害される恐れがあることは
言うまでもありません。
このように、決して避けることのできない情報の公開は
デメリットの1つと言って良いでしょう。
もちろん、こちらについては信用するほかないわけですが。
マイナンバー制度のデメリット(番外編) 個人番号不保持
最後にこちらをご覧になっておられる方には関係のないデメリットがあります。
マイナンバー制度の導入に伴う個人番号は国民一人ひとりに対して
割り当てられることとなるわけですが、割り当てられるはずの個人番号を
持つことが叶わないという方がおられるかもしれません。
人にはそれぞれ持っている事情があるわけですが、仮に何らかの理由で
個人番号がもつことができない状態でいると、次のようなことが
考えられなくもありません。
それは働くことさえもままならないということ。
なぜなら、きちんと働こうとするとマイナンバーの提示が
義務付けられているからです。
仮に一時的にもかような状況に陥らないためにも、住民票のおいている場所に
住んでいないのであれば送付先変更の届けを出すなどの対策を講じて
必ず個人番号を持つようにしてください。
ということで、マイナンバー制度の導入にまつわるデメリットを
浮き彫りにいたしました。
取り扱うマイナンバーの個人番号はデリケートなものであるだけに、
この取り扱い要する対応コストは計り知れません。
必要な商品やサービスの購入はもちろんのこと、
取り扱いに対する心的負担も多分にあります。
マイナンバーの導入が決まった以上、避けては通れないものではありますが、
今から予想されるデメリットについてはしっかりと抑えておきたいものです。