2015年10月からマイナンバー制度が導入されました。
もしかすると、あたなの所にも12けたのマイナンバーが
記された通知カードが、簡易書留によって届くいている
かもしれません。
恐らくマイナンバー(個人番号)が届いたら会社に知らせなければならないといった
基本的なことはお分かりかと思いますが、このマイナンバーとは一体何なのか?
どのような拘わりがあるのか?今ひとつ理解できていない方も
たくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
ましてや個人事業主という立場ではマイナンバーを個人番号で利用するのか?
法人番号で利用するのかなど、疑問点が多々あるでしょう。
そこで、今回はマイナンバー制度を個人事業主の立場から
どのように対応していけばよいのかを見ていきます。
この記事の目次
個人事業主のマイナンバー対応1 マイナンバーとは?
マイナンバーは社会保障、税、災害対策の分野で効果的に情報を管理し、
複数の機関が保有する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために
活用されるものです。
(参考 マイナンバー制度について[総務省])
●国民の利便性の向上
●行政の効率化
●公平・公正な社会の実現
これらを実現するための社会基盤となるものです。
冒頭でも申上げましたとおり、マイナンバー(個人番号)は12桁の番号からなるもので、
2015年10月から簡易書留にて通知され、特例が認められない限り
一生変わることのない自分だけの番号となるので大切に扱う必要があります。
マイナンバーは住民票の住所地に送られますから、仮に住民表とは別のところに
お住まいがあるのであれば、その場所を登録することで送付先を変更することが
可能となります。
個人事業主のマイナンバー対応2 個人番号を利用する
マイナンバーには個人が利用する『個人番号』と
法人が利用する『法人番号』の2種類あります。
(『法人番号』はマイナンバーという表現方法を用いませんのでご注意ください。)
そこで、疑問として浮かび上がるのが個人事業主の場合です。
結論から申上げますと、個人事業主の場合は『個人番号』を利用することとなっております。
個人事業主としてマイナンバーを利用する主だった場面として思い浮かぶのが確定申告です。
画定申告の番号記入の際にマイナンバーを記入することとなりますが、こちらに関しては
平成28年度分、つまり、平成29年3月15日までの申告分から記載することとなります。
法人番号を利用することができない個人事業主は個人のマイナンバーを利用しなければ
ならないわけですが、ここで不安になるのがセキキュリティの問題です。
なぜなら、報酬を支払う時には『支払調書』というものを作成するわけですが、
この場合、報酬を受け取る側のマイナンバーを提供して頂かなければなりません。
つまり、個人事業主として報酬を受け取る際には
個人のマイナンバーを相手に提供する義務が発生するのです。
このことがセキュリティ上の不安が残ることは当然のこと。
取引先を信用するほかないわけですが、ここの部分に確実な安全対策がなされないと
自身のマイナンバーが漏洩する危険性がはらんでいることを認識しておく必要が
あるかもしれません。
個人事業主のマイナンバー対応3 個人番号を預かる
個人事業主として従業員を雇用して給料を支払っている場合は、
当然のことながら従業員からマイナンバーを預からなければなりません。
なぜなら、税務署に提出する源泉徴収票や給与支払報告書、その他に社会保険に
加入している場合は関係書類に該当する従業員のマイナンバーを記入する必要が
あるからです。
(給与所得の源泉徴収票を含む数種の税務関係書類には個人番号の記載が不要となりました。)
それゆえに、これらのことを説明し、マイナンバーを通知してもらいます。
ここで課題として浮かび上がってくるのが『信用』の問題です。
先の項目で個人事業主として報酬を受け取る際には個人のマイナンバーを相手に
提供する義務が発生し、そのことがセキュリティ上の不安が残ることを
指摘したわけですが、このことは逆の立場からも同じ課題をのこすものとなる
ということです。
つまり、従業員として働かれる方が個人事業主に対して『信用』を持つ事が
なければマイナンバーの提供に大きな壁が存在することとなり、
働くことそのものを辞退されるということも考えられます。
法人組織に働くことと比べると、信用性という部分においてはどうしても
目劣りする部分があるので、こちらの課題があることも認識しておく必要が
あります。
また、従業員のマイナンバーを預かることそのものに対する責任が伴うことは
当然のことですから、意識的な部分においても、また、管理体制においても
信用に値するものを築いて行く必要があることも同様です。
個人事業主のマイナンバー対応4 副業への対応
副業から収入を得ている人はマイナンバーの導入により、
収入の紐付けをされることから会社ばれへの懸念が表面化しています。
実際にはマイナンバーが導入されたからすぐに副業が会社にばれるかと言うとそういうこと
ではなく、むしろ、マイナンバーが導入される前から会社ばれの可能性は存在しております。
ただ、マイナンバー導入後は収入に関しては全て紐付けされるため、
今まで以上に副業がばれやすい状態であることは否めません。
このことは会社ばれを絶対に避けたい副業での従事者を雇用する機会が
減少する可能性を秘めているということです。
副業での従事者の確保に努めるのであれば、マイナンバーを取り扱うことの
信用を高めることはもとより、副業ばれの可能性はそもそもとして
存在していたものであり、マイナンバーの導入によりその可能性が出てくる
という代物ではないということを理解してもらうことも必要かもしれません。
個人事業主のマイナンバー対応5 セキュリティ対策
マイナンバーの導入に伴い、マイナンバーの取り扱いに対する罰則も定められております。
中でもマイナンバーの情報を故意に漏洩した場合には4年以下の懲役
もしくは200万円以下の罰金が科せられることとなっております。
また、個人事業主としてはこちらに注意する必要があるのですが、
マイナンバーの管理監督責任体制に何らかの問題があった場合には
特定個人情報保護委員会が業務改善に関する勧告や命令を行うことになり、
これに従わない場合にはたとえ漏洩が起こっていなくても2年以下の懲役
もしくは50万円以下の罰金が科せられることとなっております。
それゆえに、個人事業主としてマイナンバーの取り扱い関しては
万全のセキュリティ体制を組む必要があることを承知しておくことです。
では、マイナンバーのセキュリティに対してどのような対策を講じれば良いのでしょうか?
最大のポイントは管理場所へのアクセスの制御です。
アクセス権の付与により、取り扱いのできる方を限定することはもちろんのこと、
その他からのアクセスができない環境を作ることが重要です。
もちろん、これは内部だけのセキュリティに留まるのではなく、
外部からの不正アクセスも防止しなければなりません。
外部ネットワークとの接続ポイントにはファイアウォールを設置し、
不正アクセスの防止に努めることも重要です。
ただ、これらのセキュリティはあくまでもアクセス権の付与された情報管理者に関する
絶対的な信用が前提となっておりますが、万全には万全を期する必要があります。
アクセスログの管理することはもちろんのこと、データの書き出しやその他の
不審な動きなどのチェックも定期的に行うことも大切でしょう。
特権を与えられたことによる、特権の乱用や秘匿情報の漏えいへの誘惑はつきもので、
たとえ信用ある方であっても念には念をという気持ちは持っておくべきかと。
もちろん、管理する場所やツール(パソコンなど)は限定しておき、
場所の変更やツールの持ち出しは禁止、必要な場合はそれに値するルールを決め、
必ず守る必要があります。
最後にウィルス感染対策も必要です。
ウィルス対策を取ることは当然のこととして、絶対にそのような事態に陥らないように
スパムメールは開かないことや不審なサイトにアクセスしないということを
徹底するべきです。
また、パソコンのアップデートは適宜行い、アップデートしていないことにより
パソコンのセキュリティが甘くならないようにしましょう。
ということで、個人事業主の適切なマイナンバー制度対応についてご紹介いたしました。
個人番号のマイナンバーを取り扱わざるを得ない個人事業主として
自身のマイナンバーの漏えいに対する危機意識を持たなければなりません。
また、信用度の低い個人事業主が他のマイナンバーの管理に対する信用を
どれだけ持っていただけるかということにも配慮する必要があります。
資本力のある法人企業とは違い、マイナンバーのセキュリティに掛けられる資金にも
限界があります。
その中でいかに万全の体制を築くか、これが重要なポイントでもあります。
ぜひ、参考にしてください。
なお、マイナンバーに関する法律などの制度もろもろは、
まだスタートしたばかりであるがゆえに、そのルールの変更が適宜なされていきますので、
これらの情報に関しては最新のものを収集するようにしてください。