ビジネスをしていると、色々な場面で相手の方、
周りの方々、を巻き込んでビジネスを自分にとって
有利な展開に、且つ、スムーズに進める必要が
生じます。
その時に必要となってくるのが自分の伝えたいことを正しく、分かりやすく伝える
伝達スキルなわけですが、この伝達スキルがなかなかな曲者で単純に正しく、
分かりやすく伝えるだけでは相手にきっちりと伝わっているかどうかは疑わしいです。
例えば、小学校1年生になる子供が学校に行くことを嫌がっていたとしましょう。
この場合、
「学校は義務教育だから行けなければ行けない。」
「周りのお友達は行っている。」
「6歳になったから。」
などと正論を振りかざした所で素直に「分かった。」ということで
拒んでいた学校に自ら進んで行くということは珍しいでしょう。
なぜなら、この子供は『学校へ行くこと』を自分のこととして
腑に落ちていないことはもちろん、話に聞く耳を持ち合わせていないからです。
では、どうすれば良いのかと言うと・・・
今回は、そんな相手を自分の話に引き込むための話し方について
『人志松本のすべらない話』の『すべらんなぁ〜』の数々のトークからヒントを得た
7つのポイントをご紹介します。
何の話かを事前に説明する
『人志松本のすべらない話』に出ている芸人さんの多くに
このような話し方をされるのが目に付きます。
「これ。○○の話なんですけど・・・」
冒頭でこの台詞を使って今から○○の話をするということを
事前にシェアしているわけです。
この話し方は一見、先の展開が想像出来てしまいそうで、
話の落ちが事前にバレてしまうのではないかということで不安を感じるかもしれませんが
そうではありません。
事前に何の話かをシェアしておくことで、聞き手側の心構えが出来ますし、
仮に何の話かが分からないまま話を進めてしまいますと、
よほど相手を引き込む話し方が上手でないと、
途中で「何の話やねん。」ということにもなりかねません。
だからこそ、冒頭で何の話かをシェアすることは重要であると言えます。
ちなみに、ホームページのヘッド部でどのようなホームページかが分かるように
しましょうというのは、これに似た理由によるものです。
臨場感ある説明
『人志松本のすべらない話』では、いかにも今その場で体験しているかの如く
臨場感あふれる話し方をされる方がほとんどです。
時には、会話調を用いたり、情景描写を事細かく説明したり。
また、表情やリアクションでその時の状況の再現性を高めるような話し方をされます。
これは、臨場感を演出することで第三者的な立場である聞き手側の気持ちを
こちら側へ引き込もうとしているわけです。
聞き手側の方々が「おー・・・」「それで・・・」「そうやわなー・・・」と
話し手の臨場感溢れる話にのめりこんでいっていることがよくわかります。
この『のめりこみ』がヒートアップしてくると「なんでやねん!」というような
突っ込みを入れたり、「○○とかな。」と乗ってきたりとその場の一体感が出てくるわけです。
もちろん、突っ込みやノリというものは、番組を盛り上げる一員としての
聞き手側の演出も時にはあるかと思いますが。
前振りをする
“お笑い”の世界でよく使われる『オチ』というものがあります。
『オチ』とは最後の面白い部分・結末のことで、
起承転結でいうところの結の部分にあたります。
物事を面白おかしくするのは、非常識的な結末であったり、
いわゆる相手の期待を裏切るような結末に持ってくることで驚きであったり、
笑いを引き起こすことができるわけですが。
これらは前提として『常識』『期待』というものがあってこそ
『非常識的な結末』や『相手の期待を裏切るような結末』が引き立ちますし、
この落差が激しければ激しいほど、その効果は大きいものとなります。
だからこそ、この前提となる『常識』や『期待』を仮に知っていることとは言え
予め抑えておくことで、この落差を確実なものとし、
驚きや笑いをより確実に引き起こす要素となり得るわけです。
この『常識』や『期待』を事前に抑えておくことを“前振り”と言います。
繰り返す
同じことを何度も繰り返してお話される芸人さんがおられます。
特に話が盛り上がっている時に(笑いが起きている時に)その話を2度3度繰り返すことで、
笑いがどんどん大きくなっていくというような現象が見られます。
これを“こする”と言ったりするようですが。
繰り返すことはその時の感情を大きくする効果があるのですね。
なので、逆に落ち込んでいる時に落ち込んでいる内容のことを延々と話すと
さらにどんどんと落ち込んでいくという事にも繋がります。
とにもかくにも繰り返すことは感情の増幅装置としての作用があることを
覚えておいたら良いでしょう。
上げてから落とす
『前振りをする』『繰り返す』ということに付随する話ではありますが。
『前振りをする』の中では前振りとオチとの落差によって、
もっと言えば、この落差が大きければ大きいほど驚きや笑いも大きくなると申上げました。
このことは前振りからオチに至るまでの段階で、できる限り“上げておく”ことが
落差を大きくする1つの方法であることを物語っています。
そして、『繰り返す』というのはまさしくこの上げておく効果を狙ったものに他なりません。
例えば、テニスの試合の結果が悪かったことの話をするとしたら
「○○で優勝したことがある。」
「前回、チャンピオンの△△に勝ったことがある。」
「第1シードに入れてもらって決勝まで強豪と当たらない。」
というような前振りをしておいて、その結末に
「初戦で敗退した。」
というオチに至ると・・・
「えーーーーーーーーーー」
となるわけですね。
この展開にエッヂを効かすためにも“上げる”ということを意識してみてください。
オチは一気に
たまーにオチを言う前に“噛んで”しまってグダグダな話になることがあります。
たかが噛んだだけで話のストーリーに大きな変化はないのですが、
その場の雰囲気は一気に白けムードになったりしてしまうこともあります。
これは、オチに対する期待感をその直前で削がれてしまうことで
気持ちが一気に冷めてしまうのです。意識が噛んだことへ向いてしまったということ。
せっかくここまで順調に話しを盛り上げ、期待感を煽り、
「それで、それで、」というような感情にあげることを出来ているのに、
このような躓きはもったいないことこの上ないです。
我々ビジネスマンが相手が腹を抱えるくらいに笑わせる必要性は無いのですが、
これをセールスのクロージングに置き換えてみると良く分かります。
商談も順調に進み、最後のクロージングの段階に入り、
いざ契約をお願いするというような状況になって『契約書を忘れた』とか
『契約書が鞄の中からなかなか探し出せない』といような場面を
相手に見せてしまうとどうでしょうか。
せっかく買おうと思っていたお客様の気持ちも興ざめしてしまうというものです。
だからこそ、オチは一気に滞りなく済ませるようにしなければなりません。
おまけ・・・間(ま)
お笑いの世界で間(ま)というものはとても重要であることは良く言われることです。
あるお笑い界の大御所の言葉を借りると
「0.数秒の違いですべることもある」
ということです。
(すべるとは笑わせるはずだったところが笑わせることが出来なかったことを言います。)
これは話し慣れ、伝え慣れしないと身に付かないことかもしれませんが、
その場の空気感というものをしっかりと掴んで、ここぞ!というタイミングで
話し始める
話題を変える
突っ込む
乗っていく
乗り突っ込みをする
オチに持っていく
などの展開を予め想定しておくのも良いでしょう。
もちろん、お笑い芸人さんになるわけではありませんので、
あくまでもその場の空気を支配する為に、その場に居合わす方々を
自分の話に巻き込むためにこれらの意識を持っておくという程度で結構です。