長きに渡る不況にあえぐ我が日本。サラリーマン世帯の
懐事情も年を追い毎に厳しくなって来ているのが
多くの方が抱かれている実感ではないでしょうか?
毎日いつもと代わり映えのしない普通の毎日を何も意識することなく過ごしていれば
気付かないでおりますが、物価は緩やかに上昇していたり、見た目の価格は変わらずとも
中味の内容量が減らされているという実質的には価格の上昇が見て取れ、
物価の上昇率は給与所得のそれを上回っているようです。
つまり、見た目の収入はインフレに乗って増えてはいても、それ以上に物価が上昇するという
傾向にあるので実質的には懐事情は苦しくなる一方であるというのが現状です。
そんな状況にあってサラリーマンがまず考える事は何かと言うと・・・
副業を持つことで給与から得られる所得以外の収入源の確保ということになります。
とは言え、勤めている会社の就業規則では副業を禁止しているところが圧倒的に多く、
サラリーマンが副業をする事でまず考えるべきことは、いかにして会社にばれない
ようにするかということです。
そして、勤めている会社に副業がばれてしまう最大の原因は住民税にあることから、
ばれないようにする為には副業における確定申告の方法をどのようにするのかに
かかってきます。
そこで、今回は、副業における確定申告の方法についてお伝えいたします。
この記事の目次
■ 副業における確定申告の方法 その1 副業の種類
のっけから意外と想われるかもしれませんが、税法上、副業という言葉は存在しません。
そもそも課税制度では総合課税制度の考え方に基づいて、原則、総収入に対して
課税されるものです。そして、副業という言葉は存在せず、所得の種類によって
課税の方法が異なることになります。
・給与という形で所得を得ているサラリーマンやOL、パート社員・・・給与所得
・個人事業主・・・事業所得
・貸家、貸マンション、貸し駐車場のオーナー・・・不動産所得
・株、その他の金融商品、権利収入などの譲渡(売買)・・・譲渡所得
・アフィリエイト報酬、転売などの収入・・・雑所得
最後に上げたアフィリエイトや転売などのインターネットを活用して
副業として得た収入は、一般的には生計をたてるための主たる収入源では
ないとの認識から『雑所得』として扱われます。
但し、昨今の急激なネットビジネス市場の上昇からも分かるように
副業として始めたものであったとしても、その収入が本業として得ている
給与所得を上回るような規模になってくると、それは『雑所得』としてではなく、
『事業所得』として扱われることになります。
なお、副業で得た所得が『雑所得』に当たるか、『事業所得』に当たるかは
明確な線引きはありません。修正申告などの2度手間を避けたいのであれば
事前に税務署に確認をしておくことをおススメします。
ちなみに、『事業所得』の場合は「損益通算」と言って給与所得と合算した所得から
経費を引くことが可能となりますので、副業単体で赤字になる場合は、
事業所得の方が支払う税金を抑えることができます。
このように副業による所得はその所得の種類によって課税方法が異なるわけですが、
これらの副業による収入は自ら確定申告をする必要があり、その方法によっては
勤めている会社に副業がばれずに済むというわけです。
注意しておきたいことは、確定申告は自己申告制であり税務署からいちいち
「こうしなさい」「ああしなさい」というような指摘があるわけではないので、
気にかけていなければそのまま放置なんてことにもなりかねません。
しかしながら、納税は国民の三大義務の1つでもあり、少なくとも副業で得た収入に
関する納税に関しては自らが正しい方法で行う義務があることを覚えておいてください。
■ 副業における確定申告の方法 その2 確定申告の手順
副業における確定申告の対象となる税金は
「所得税」と「住民税」の2つになります。
納税は前年の1月1日~12月31日までの間に副業で得た収入を、
3月15日までに税務署に確定申告し、且つ、同日までに
所得税を納税する事に。
そして、この確定申告を元に、税務署から自分が住んでいる市町村へ
住民税が通知されるようになっているわけです。
通常、特別徴収と呼ばれる勤めている会社から支払われる住民税の納税方法を
取っているわけですが、本業の住民税に加えて副業の住民税額も
この時にプラスして会社に通知されることとなります。
また、会社から住民税の支払いを行うのではなく、普通徴収と言って自分自身で
住民税を支払うこともでき、この場合は、自宅に住民税の納税通知書が
来ることとなるので、6月以降に納税の支払いを行うことになります。
つまり、サラリーマンをしていて副業をしていることを勤めている会社に
ばれないようにする為には、副業で得た収入分の住民税を、
会社から支払う給与天引きにするのではなく、
自分で納税する(普通徴収)ということが必要になるというわけです。
■ 副業における確定申告の方法 その3 確定申告が必要な人
副業で確定申告をする必要がある人は、副業所得の合計額が納税対象となる
期間内に20万円を超えた人になります。
ここで認識しておいて欲しいことがあります。
それは・・・
『収入』と『所得』の違いについてです。
『収入』とは、入ってくるお金の総額のことを指し、事業であれば売上高、
会社員であれば税込の年収がこれにあたります。
『所得』とは、先の『収入』から控除額や必要経費を引いた金額になります。
そして、繰り返しになりますが、副業で確定申告をする必要がある人は、
副業で得た『所得』の合計額が納税対象となる期間内に20万円を超えた人と
いうことであり、『収入』が20万円を超えた人ではないということです。
ちなみに・・・
本テーマとは少し外れますが、所得金額が20万円以下ですと、
所得税の確定申告は不要となります。
しかしながら、確定申告が不要であっても副業で得た所得の住民税は
支払わなければなりません。
つまり、勤めている会社に副業がばれないようにしたいのであれば、
確定申告の要・不要に拘わらず住民税の申告は自分で行う必要があります。
でないと、住民税の金額が、副業分と合算して本業の勤めている会社に
通知されてしまいます。
■ 副業における確定申告の方法 その4 税率と計算方法
副業を含む所得は、合計の所得に対して課税されます。
所得税の金額は、収入から経費を差し引き、青色申告特別控除分を差し引き、
さらに、諸々の所得控除項目を差し引きます。
(詳しくはこちらを参照してください。
『サラリーマンが副業をする時に知っておきたい税務のいろは』)
そして、この控除後の金額から所得税の金額を計算することとなります。
ただ、日本はご存知のとおり、所得が高い人ほど税率が高くなる累進課税と呼ばれる
仕組みでもって納税額が形成されており、課税額は一律ではありません。
この税率は5%、10%、20%、23%、33%、40%の6段階に分かれて折ります。
(平成27年度分以降は5%、10%、20%、23%、33%、40%、45%の7段階。)
では、税率と控除額を所得金額別に見てみましょう。
【課税される所得額・税率・控除額】
◆195万円以下・ 5%・0円
◆195万超?330万円以下・ 10%・97,500円
◆330万超?695万円以下 ・20%・427,500円
◆695万超?900万円以下 ・23%・636,000円
◆900万超?1800万円以下 ・33%・1,536,000円
◆1800万円超 ・40%・2,796,000円
平成27年度分以降は・・・
【課税される所得額・税率・控除額】
◆195万円以下・ 5%・0円
◆195万超?330万円以下・ 10%・97,500円
◆330万超?695万円以下 ・20%・427,500円
◆695万超?900万円以下 ・23%・636,000円
◆900万超?1,800万円以下 ・33%・1,536,000円
◆1,800万円超?4,000万円以下 ・40%・2,796,000円
◆4,000万円超 ・45%・4,796,000円
となっております。
例えば、給与所得300万円、副業30万円の合計税額は、
(300万円+30万円)× 10% ? 97,500円=232,500円です。
(平成25年から平成49年までは、232,500円の2.1%となる復興特別所得税が加算)
年末調整を給与所得で行っている場合は、この総額所得税からすでに納付済みの
所得税を差し引いた金額を別途納付します。
年末調整をしていない場合でも、基礎控除額として一律38万円は所得額から
差し引くことが可能です。通常は白色申告と呼ばれ、副業の収入が少額の場合に
適した簡単な申告方法ですが、副業の収入が多い場合は、青色申告という
確定申告の方法があり、65万円の特別控除が適用されます。
■ 副業における確定申告の方法 その5 会社ばれしないようにするために
会社に副業がばれるルートとして考えられるのは、
①同僚やその他自分の副業のことを知っている方を情報源とする
②住民税に詳細を確認する会社の経理を担当する方を情報源とする
これらの2つしかありません。
他人の口に戸は立てられないので、①のリスクを完全に0にすることは不可能です。
できる限りその状況を回避する工夫を自身で行うしか方法はありません。
しかし、②の住民税から副業がばれるリスクに対しては
それ相応の対策があるのでここでシェアいたします。
住民税から副業がばれる根拠は、住民税が副業分も合わせて
会社に通知されることとなるからです。
つまり、副業が会社にばれないようにする為には、
『副業における確定申告の方法 その3 確定申告が必要な人』の中でも
軽く触れましたが、副業分の住民税の通知が会社に行かないように
しなければならいということです。
では、副業分の住民税の通知が会社に行かないようにするためには
どうすれば宜しいのでしょうか?
まずは、確定申告です。確定申告時に、確定申告書の第二表に
『給与所得以外の住民税の徴収方法の選択』という枠があります。
その項目の中に『自分で納付(普通徴収)』という欄がありますので、
そこにチェックを入れることで自分で直接納税とすることができます。
また、市町村への住民税の申告の時は、市区町村によって申告用紙は異なりますが、
『給与・公的年金等に係る所得以外の住民税の納付方法』の欄に給与からの
天引きとなる『特別徴収』と、個人で納付する『普通徴収』がありますので、
『普通徴収』を選択にすることで自分で直接納税とすることができます。
ただし、これだけで万全かと言うとそうではありません。
ここまでの対策をしていてもなお、副業が会社にばれるリスクは残ります。
それは・・・
給与収入が合算されてしまう時です。
先に挙げた副業分の住民税が会社に行かないようにする為の方法は
あくまでも給与所得以外の住民税の納付方法であり、給与所得として得る
副業収入(パートやアルバイトなど)は、仮に普通徴収にチェックを
入れたとしても、本業の給与所得と合算して本業の会社へ報告されてしまう
恐れがあるのです。(雑所得であるアフィリエイト報酬、転売などの収入などで
あれば普通徴収へのチェックがあれば問題ございません。)
これを100%回避する方法は残念ながらありません。
給与収入が合算されてしまうことを回避するためには、自分で市町村に対して
本業の給与所得以外の所得に関しては直接納税したい旨の問い合わせをする
必要があるわけですが、市町村によっては対応ができないと
答えられるところもあります。
この場合は、残念ながら『給与所得』となる副業はあきらめる他ありません。
以上、副業における確定申告の方法についてお伝えいたしました。
勤めている会社からの給与では心もとないという方はたくさんおられます。
それゆえに、副業をと考えるわけですが、その確定申告の方法については
正しい方法に則って、且つ、自分の希望する手法で確定申告をするように
しましょう。